メイド御殿 作詞・作曲・演奏・歌:大島伸啓 男だったら夢を見ろ いつかレンガの大きな家たてて 白いエプロン 笑い声 メイドメイドメイドと住むぞ ボタンとれたらつくろいを 昼下がりには舶来の紅茶 風邪をひいたら卵酒 メイドメイドメイドに頼もう みやこ銀座でお買い物 背広洋傘革靴腕時計 二人でケーキを食べようか メイドメイドメイドといっしょ 海の向こうを見に行こう 汽車にお船に車のりついで 華の上海巴里倫敦 メイドメイドメイドと行こう 《解説》 昭和初期、筑豊地域の炭坑で働く坑夫たちが豊かな暮らしを夢見て歌った歌。当時石炭は発電所・製鉄所・蒸気機関車などに用いられ、日本の工業化に欠かすことの出来ない重要な資源であった。しかしそれを掘り出す坑夫たちは劣悪な環境で酷使されており、事故の危険も高く、また薄給ゆえに結婚を諦める者もいた。そういった彼らの抱いた安寧への切なる願いが、メイドへの憧憬と高度に融合し、この歌を産み出したのであろう。 「汽車にお船に」という歌詞は、自分たちが暗い地下で掘った石炭が実際に使用されている地上の現場を見てみたいという思いのあらわれではないだろうか?。煙を吐いて疾走する特急列車の中で、「この機関車を動かしているのは、俺が掘り出した石炭なんだぜ」と随伴するメイドに自慢したかったのではないだろうか?。 なお、この歌が成立したあとも彼らの貧困は続き、その改善は敗戦とGHQを待たねばならなかった。 (鎌倉市立大学客員研究員 大島伸啓)
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