2007年3月2日
(前回までのあらすじ)
借金抱えて失踪していた父(認知症の疑いあり)は、
70半ばの老婦人に匿われていた!
弟の無事を確認して 浮かれポンチと化した伯母と
状況がよく分からないなりに、何かめでたいことがあったらしいことは
うっすら分かって微笑む父。ぶっちゃけ、誰も頼りにならないぞ!
で、一体何があったのか、これからどうしようと思っているのか、
この老婦人との、さぐりさぐりの会話が始まる …!
とりあえず、手土産に買っておいた洋菓子を手渡す
「…父を匿っていただいていたようで…」
よもや自分の人生でこんな台詞を吐く日が来るとは……!
老婦人は、あまりお土産には興味を示さず、能弁に語りはじめる
「Kさんはねぇ、悪徳麻雀店で、手に豆つくりながら働いていたところを
私と知り合って、ここの事務をやってもらってたのよ。それでね…」
要約すると
事業に失敗し、借金を抱えて1年程度(短っ)放浪するうち、悪徳雀荘にたどり着いた父が
ひいきにしていたマッサージ屋の老婦人に、「うちで働かないか」と誘ってもらい
9年ほど会計などの仕事をしていた、とのこと。
さすがというかなんというか…嫌な要領のよさは天下一品だよあんたは…
それが2ヶ月ほど前から、「パソコンが分からなくなった」と言い出した。
他にも色々な日常生活が出来なくなっていき、ついに同居人の
顔も忘れる始末。これはやばい、と感じ、父に伯母の電話番号をきき、
連絡したという。
そんな話を交わしているうちに、最初は何がなんだかわからない顔をしていた父が
どうも私が娘であるようだ、とわかり始めたらしく
「おまえだよな、あれ、俺の娘の、あやだよな」
などと言い出した。
とりあえずそんな知ってる情報どうでもいいのでスルーして
語りきって少し休んでいる老婦人に、ふと思いついたように切り出す
「じゃあ、父はまだ医者にはかかってないんですね?」
老婦人は、頷いた。
「…保険証がないから、かかってないねぇ。
…でも!今まで大きな病気はしなかったのよ!」
「なるほど、では一旦住民票を私の家に移し」「うちでいいよっ!!」
柔和にみえた彼女の顔に、一瞬だけ険が閃いた。
……どういうことか
彼女は一体、何を恐れているのか?
とりあえず、脇に座っている伯母に視線を移してみるが
彼女はあれだ、現在浮かれポンチ状態につき普通にスルー
この一瞬の違和感に、彼女は気づかなかったようだ
かえって都合はいい。もうすこし、話を聞いてみよう…
「そうですか、それは助かります。私と世帯を一緒にしてしまうと…ぶっちゃけ話
何かあったときに、生活保護の申請ができませんから… 」
…ちょっと口がすべったか!と一瞬心配になるような大ガマをかけてしまったが
これで、彼女が今後どうしたいのかが、なんとなく分かるはず…
彼女は、さっきの一瞬の表情はどこへやら、また柔和な微笑に戻り
「そうだねぇ、先のことを考えておくのは大事だからねぇ」
先のこと、とみなしてくれている。
どういうわけか、いままでどおり一緒に暮らしてくれるようだ…
伯母は相変わらず、ひたすら泣いたりニコニコしたりしている。
しかしこの伯母の存在が、とても重要だった。
私が警戒心丸出しで、対面で話をしていたのでは、
この老婦人は、警戒して多くを語ってくれなかったと思う。
今後がどうとか、利害関係とか、そんなことはどうでもよく
ただただ、弟の無事を喜ぶ姉がいたからこそ、
老婦人は知らず知らずに多くの情報をもたらしてくれたのだと思う。
しばらく、近況を繰り返し語ったあと、彼女はふいに、重要な問いを投げてきた
「あなたのお母さんは、再婚してるの?」
父が、あきらかに凍りついた。
父には母の再婚については知らせていない。
しかし、この場に母がいないことの意味が分からないほど
父とて鈍くないだろうていうか何!一応嫁がいたことは覚えてるんだ!?
記憶が混乱している父に聞かせて、過剰なショックを与えるべきじゃない、と
避けていた話題だったのに、彼女はあえて持ち出した。
ある種の予感がひらめく。これは…
「……再婚しました」
父には聞こえるか、聞こえないか程度の小さな声で告げてみた。
老婦人は……
「あらま、再婚したの!そうなのね!!」
父に聞こえるように、大きな声で繰り返した。
「Kさん、あなた、帰る場所ないねぇ♪」
満面の笑みで、笑いを交えながら話す彼女
なるほど、そういうことだったのですね。
彼女と父は、内縁関係に限りなく近い状態、と思われます
………………
よっしゃ、それなら話は早い!
これで「このひと、明日にでもここから追い出されているかも…」って心配は
しなくてOKだね!
当面の生活も、 彼女が面倒を見てくれる!
私の新婚生活は、思ったよりも安泰そうだよ!!
右も左も新婚さんで、なんだか縁起がいいやねぇ!!
とりあえずいいぞ親父!グッジョブだ!!
↑娘の情操教育に、あまり成功しなかった例です。
間違っても真似をさせないでください。
さて、当面の生活のめどは立ったわけですが、
治療のめどはたってません。
父を医者に見せるため、私の奔走が始まる……!
(続く)
2007年2月21日
(前回までのあらすじ)
10年前に失踪した父が見つかった!
なんかけっこうやばいかんじで!!
で、その見つかった父に、
伯母と共に会いにいったんだけど…
(続き)
えー、
またしばらく間があいてしまいました。つげもとです。
ようやくゲームが終っまた色々ありまして、少々間をあけましたが
私は元気にやってます。不思議なことに。
父に会うために上京してきた新潟の伯母は、
とにかく弟が無事発見された喜びに
何話してんのかよくわからないほど 舞い上がっていた
『もうね、雪が積もるといつも思ったんよ、
あの子、どっかで寒い思いしてるんじゃないかってね 』
(新潟じゃ毎日なんじゃないすか…)
『辛〜い思いしてきたんだよぅ、もう、出てきてもいいんだよね!』
(その『辛〜い思い』が私の番かと思うと、もう眩暈がしそうです)
『わっちね、旦那に言ってやったのよ!生活に困ったら、
あの子はきっと、わっちが引取って面倒見るって! 』
(…おじさん、一生懸命ローン組んで買った家なのに
人生の最後によく知らんおっさんに転がり込まれるなんて…! )
なんて不憫な……。
いつになく饒舌なおばさんの話を聞きつつ、
電話で聞いた住所に向かう。
どなたかの御厚意で、マンションにご厄介になってるということだけど
この、『どなたか』が
集団で生活したりミイラ作ったりする新興宗教の教祖だったらどうしよう……!
こっちは名前しか聞いてないので
そんな不安でいっぱいなんだけど
伯母のうかれっぷりや、これまでの経過を考えると
まともに今後の話が出来るのは、私しかいない……!
もう「父をよろしく!」とかいって回れ右して帰ってしまいたいのを
ぐっと堪え、 チャイムを鳴らす。
チャイムに応えて出てきたのは、思ったより若々しい、
目のパッチリしたおばあさんだった。
「さきほど電話した、つげもとK朗の…」
「あらあら、お待ちしてたのよ!Kさんの」
はい、お恥ずかしながら、私が娘の
「Kさんのお姉さまね!!」
………ってちょっと待たんかい!!
父がいくつに見えたかしらないけれど
もう還暦がちかい。ていうか今年で58とかそんなだった
そのお姉さんってことは何か、
私は還暦か!!
「…いや、私は娘の…」
まあ、70年以上生きてきた人には60も30も大差ないのかもしれないと
気を取り直し、 自己紹介を済ませる。伯母は人見知り気味なので、
後から恐る恐る入ってきた。
……そして、そこに父はいた。
最後に見たとき、大分ハゲだったので
相当進行してるだろうなー、と思っていたのが
意外と進行してなくて、ただひたすら、
何かが欠落したような、うす笑いを浮かべていた。
伯母は父を見つけるやいなや、人見知りも何もかも吹き飛んで
涙を浮かべて手をとって喜んでいたが
多分父はその瞬間、何がなんだかよく分からなかったのではないか…と。
伯母は、とりあえずそれでいいのだ
無事を確認したら、新潟に帰るひとだ
生きていて、穏やかに笑っていればそれで満足。
この人自身、自分の人生で色々苦労をしてきた
だからそれでいい。弟にまで振り回される義理はない。
でも、 私はそういうわけにはいかない。
今回、父に会いにきたのは、旧交を温めあうためではなく
この人が、どういう経緯で父を拾ってくれたのか、
そして今後、どうしたいのか、
失踪して全てをなくしている父が現状を回復して
穏やかに暮らすには、どんな手続きが必要か
そしてさらに、父の認知っぷりはどの程度なのか!
考えなきゃいけないことがてんこ盛りです。
とてもじゃないけど、父と手を取り合ってるばあいじゃないです
ていうかさっきから「あんた誰?」みたいな目で見てるしな!
……さて、このあと
私と、 その父の面倒をみてくれているおばあさんの
お互いさぐりさぐりな会話が始まる……
(続く)
2007年2月8日
ながらくご無沙汰いたしました。つげもとです!
いやもう、引越しがあったり仕事が忙しくなったりWii買ったり
とにかくいろいろございまして、ちょっと更新があきました。
みなさん、お元気でいらっしゃいますか?
我が家は、
…じつは…まぁ、なんというかその
………何度がコラムにも書かせていただきましたが、
うちは少し家族が特殊じゃないですか……
今回ですね、その………
えらいことになっちゃいまして………
ま、でもとりあえず久しぶりに
3話くらい引っ張れそうな事態が展開しているので
さっくりと順を追って説明いたしましょうか……
…年の瀬を迎え、若干忙しい社内で母からケータイの着信が入る
そのときは一瞬とりそびれて、掛けなおそうかと思って着信履歴をみると
ざっと10件 全部母からの着信
そっと、ケータイをカバンにしまいこむ
やばいよ、この着歴
他人に見られるの恥ずかしすぎ
確か昼飯時に時計代わりにケータイ見てからざっと2時間
その間に執拗にかかってきていた母からの電話
こいつはやばいです
心の妖怪アンテナにビンビン来てます。
こいつはもう、すわ離婚か! ってほどニュー旦那と大喧嘩になったか
人死にが出たかのどっちかです
でもこのヒステリックなまでの着信っぷりは
どっちかっていうと離婚方面かなー
とか暢気に考えながら物陰に入って電話をかける
『もしもし!あぁもうやっと連絡ついたわ。…ちょっと大変なことになったわよ』
(お、冷静だ。喧嘩方面じゃないかなこりゃ)
『なに、あの着信は』
『お父さんが、見つかったわよ!!』
…………まじか━━━━━━!!
過去のコラムで既出ですが
私の父は母と離婚後、失踪していまして……
約10年間、行方知れずだったんですよ
『……今までどこに!?』
『池袋だってよ』
………近っ!!
なんだそれは
ほぼ『そこら辺』じゃないですか
まぁ、『都心部は見つかりにくい』というのは
失踪のセオリーですけどね…。
でも気になるのはやはり、今になって見つかったというところですね
まっとうに考えれば、やはりこうですかね……
『……死体で?』
『いや生きてるってば。あんたひどい子ね』
『いやその…何で今になって?』
『なんかね、認知症らしいのよ』
………おぉう、人生の闇深ぇ──………。
私、10月に結婚式を挙げて
12月に新居を購入したばかりです
今まで住んでいた湿気が多くて陽がささない1階とちがい
日当たり良好な3階の新居で、晴れ渡る空を眺めながら
『こんな因果な私でも、今、人と同じ生活をしている!!』
とかそんなことが幸せに思えたものでしたね…
これが先週末の土曜日でしたっけ
そんな砂上の楼閣を押し流すビッグウェーブ到来に
電話越しの『お姉さんのところに、同居していた人から連絡があってね』とか
『その同居人が、面倒みきれなくなって掛けてきたんじゃないかしら』とか
そんな瑣末な情報は雑音に聞こえる空虚な心理状態に。
ぶっちゃけ急性鬱です
あまりのことに押し黙っていると、母が半笑い声で
『あんたも色々と大変ねー。』
……隊長!友軍は戦線離脱の構えに入っております!
まあ、そりゃそうでしょう
散々苦労したこの人も、今や無事再婚を果たし
ようやく『普通の妻』の座を射止めたのですし。
ここで変に父に関わって、家に転がり込まれる事にでもなったら
やっぱり『すわ離婚!』になっちゃいますよね……
そして、一応私には兄がいるのですが、奴は奴で
一家離散のショックから、長いこと精神を病んでいます
今会わせるのは、ちょっぴりキケンです
というわけで
私と、伯母が、父に会ってみることになりました……
(多分続く)
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